自分の責任のために全員が動いているのに、なぜ会社はうまくいかないのか

誰もサボっていない。むしろ、みんな真面目で、責任感がある。それなのに、なぜか会社は噛み合わない。
話は通じているはずなのに、結果はズレる。そして、頑張っている人ほど疲弊していく。


そんな職場に、心当たりはないでしょうか。

この問題は、「やる気がない人がいるから」でも、「能力が低い人がいるから」でもありません。むしろ逆で、全員が自分の責任を果たそうとしているからこそ、うまくいかなくなる構造があります。

目次

みんな真面目なのに、なぜ噛み合わないのか

会社では、それぞれに「責任」が割り振られます。

  • 売上の責任
  • 納期の責任
  • 品質の責任
  • コストの責任
  • 評価を下げない責任

誰もが、自分の持ち場で「正しい行動」を取ろうとします。

  • 自分の担当を守るため
  • 自分の責任範囲を全うするため
  • 自分の評価を上げるため

この時点では、誰も間違っていません。

問題は、「自分の責任として正しい行動」同士が、必ずしも組織全体として正しくならないという点にあります。

「部分最適」が量産される構造

会社では、評価も責任も、基本的に部署単位個人単位で与えられます。

すると、人はこう考え始めます。

  • ここまでは自分の仕事
  • それ以上は他部署の責任
  • 余計なことをして評価を落としたくない
  • 失敗のリスクは背負いたくない

結果として、自分の担当だけを守る行動が増え、他人の領域には踏み込まない判断が重なり、問題があっても「報告したからOK」という線引きが積み重なっていきます。

これは無責任なのではなく、責任を真面目に考えた末の行動です。けれど、その結果、組織全体としては、全体最適が誰の責任でもなくなり、問題は見えているのに誰も動かないというズレが修正されないまま進行する状態が生まれます。

「会社をうまく回す責任」は、誰のものか

多くの会社では、「会社全体をうまく回す責任」が、明確に誰にも割り当てられていません。

現場の言い分
  • 「それは決定事項なので」
  • 「指示通りやっています」
  • 「自分の担当は守っています」
管理職の言い分
  • 「現場で何とかしてほしい」
  • 「細かいところまでは見きれない」
  • 「各自で考えて動いてほしい」
結果
  • 誰も間違っていない
  • 誰も責任を放棄していない

つまり、誰も全体を引き受けていない宙ぶらりんな状態が続きます。

責任感が強い人ほど、消耗していく理由

この構造の中で、一番消耗するのは誰か。ズレに気づいてしまい、全体を考えてしまう人。「このままだとマズい」と思える責任感の強い人ほど消耗してしまうでしょう。

  • 本来の担当外のことを気にする
  • 誰も拾わない問題を拾う
  • 調整役に回る

しかし、そうした行動は、評価制度上は必ずしも評価されるとは限りません。むしろ、「余計なことをしなくていい」「そこまで考えなくていい」「自分の仕事に集中してほしい」といった言葉で、静かに線を引かれてしまうこともあります。その結果、全体を考え、ズレに気づき、責任を引き受けようとする人ほど消耗しやすくなり、割り切って自分の範囲だけを見る人のほうが楽に働ける、という逆転現象が生まれていきます。

誰も悪くないのに、関係だけが荒れていく

こうしたズレが続くと、人は次第に原因を「人」に求め始めます。

  • 「あの部署は協力しない」
  • 「あの人は自分のことしか考えていない」
  • 「結局、押し付け合いじゃないか」

しかし実際には、役割が分断され、評価の基準も揃わず、全体に対する責任の所在が最初から設計されていない。そうした構造の中では、人は「そう振る舞うしかなかった」というケースがほとんどです。人間関係そのものが悪くなったのではなく、構造が人間関係を悪く見せているだけ。ここを見誤ると、原因はいつの間にか自分か誰かにすり替わり、自責か他責のどちらかに引きずられていきます。

自責が強い人は、「なぜみんなは、こうしないのか」「自分ばかりが考えているのではないか」と、周囲を疑い始める。一方で他責に傾くと、問題を個人に帰属させ、「あの人が悪い」「あの人さえいなければ」と、特定の誰かを標的にする。

こうして、本来は構造の問題だったはずのものが、好き嫌い、合う合わない、嫌われ役といった感情の話へと変換されていきます。嫌いな人や、嫌われる人が生まれるのは、性格の問題というより、構造が生み出した副産物だと言えるでしょう。

結論|「誰も悪くない会社」が一番つらい

自分の責任のために、全員が真面目に行動している。それでも会社がうまくいかない。

この状況が一番つらいのは、「正しさ」が衝突しているからです。誰かを責めても解決しない。自分を責めても前に進まない。

必要なのは、冷静に見る視点。

  • この会社は、どこで責任が分断されているのか
  • 全体を見て調整する役割が存在しているのか
  • それを個人の善意に依存していないか

構造を理解することは、諦めることではありません。自分がこれ以上、無理に背負わないための判断材料です。「みんな真面目なのに、なぜか苦しい会社」で、一人だけが壊れないでください。

それは、あなたの責任ではありません。

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