最近、とある業界専門の転職エージェントと面談する機会がありました。きっかけは、ネットで適職診断を試したところ、エージェントからメールが届いたことです。
正直、話の流れはある程度予想がついていました。筆者は、業界未経験で年齢も若くはない。条件的に厳しいだろう、という自覚はありました。
それでも一人で悩み続けるより、誰かと話してみるのも悪くない。何より、もし少しでも自分に変化をもたらす可能性があるなら、行動しておいたほうがいい。
そう思って、面談を受けることにしました。今回は、そのときに感じた違和感と、そこから見えてきた転職エージェントの「本音」の話です。
面談の冒頭で感じた、想定内だけど引っかかる一言
面談が始まって、開口一番に言われたのは、こうした言葉でした。
「正直に言うと、弊社の求人とはマッチしないと思います。ただ、私も人材業界は長いので、アドバイスはできると思いますが、それでもヒアリングを進めていいですか?」
想定の範囲内でした。こちらも大きな期待をしていたわけではありません。「いや、面談を申し込んできたのは、そっちなんだけどね。」と、心の中で思ったのも事実です。
この時点で、すでに温度差はありました。冷たいというほどではない。でも、はっきりとした「距離感」は感じました。
「相談にのってくれる」と思っていた期待が外れた瞬間
面談が進むにつれて、さらに違和感は積み重なっていきました。
- こちらの背景より、求人の話が先に出る
- 早い段階で「紹介できる求人は少ない」と言われる
- 年齢的にも正社員なら今の会社に残って副業を勧められる
もう少し一緒に考えてくれて、キャリアの棚卸しを丁寧にしてくれると思っていました。
でも実際は、決まった質問を一通り聞かれ、「現実的には厳しい」という結論に、比較的早く着地した印象。
このとき、多くの人が頭の中で、同じ言葉に行き着きます。
「自分には、市場価値がないのかもしれない」
転職エージェントの「本当の顧客」は誰か
構造の話をしていきましょう。
転職エージェントの“お客さん”は、求職者ではありません。本当の顧客は、企業です。
- 企業に人材を紹介する
- 入社が決まる
- 年収の一定割合が成功報酬として支払われる
つまり、「転職が成立する人」と「企業が採用したい人」この2つが重なるときにしか、ビジネスは成立しません。
転職エージェントが求職者と無料で面談する行為は、善意というより 商品仕入れに近い。これは、ビジネスとしての性質の話です。
この前提を知らないと、面談で感じた違和感を、すべて自分の問題として引き受けてしまいます。
なぜ「冷たく感じる対応」が起きるのか
面談で感じる温度差には、理由があります。
① 紹介できる求人がない場合
正直に言えば、担当者が自身の売上につながる可能性が低い人に、時間は割けません。これは人格や努力の否定ではなく、単なるビジネス上の優先順位です。
② 「今は動かない方がいい」と言われる理由
この言葉は、親切心だけで出てくるものではありません。
- 成約確率が低い
- 条件が合わない
- 企業側のニーズとズレている
そう判断された場合、無理に動かしても成果にならないからです。
③寄り添いが浅く感じる理由
転職エージェントは、あなた一人だけを見ているわけではありません。常に複数の求職者と企業を同時進行で扱っています。深い内省や感情整理まで担う余裕は、構造的にありません。
「あなたの価値が低い」わけではない
ここは、はっきりさせておきたいところです。
- 冷たい対応=あなたがダメ
- 求人が少ない=価値がない
ではありません。
- 年齢
- 職種
- 業界経験
- 企業側の採用事情
- 市場のタイミング
こうした外部条件の組み合わせです。これは、個人の問題ではなく、構造の問題だといえるでしょう。
転職エージェントは「委ねる相手」ではない
転職エージェントを利用する前の心得
- 正解を教えてくれる存在ではない
- 決断を代わりにしてくれる存在でもない
- 人生の責任を取ってくれるわけでもない
- 転職市場の情報を持っている
- 企業側の事情を知っている
- 条件が合えば力を発揮する
ツールに近い存在であり、この視点が、とても重要です。
期待しすぎれば、裏切られたように感じる。仕組みを理解したうえで使えば、役に立つ。
結論|違和感は「直感が先に理解していたサインだった」
転職エージェントとの面談を振り返って、あとから腑に落ちたのは、「うまくいかなかった」という事実そのものではありません。
面談中に感じていた、あの小さな違和感。期待していた噛み合いのなさ。どこかで「話がズレている」と感じていた感覚。それは、ビジネスモデル、立場の違い、役割のズレが前提にあるからです。
転職エージェントは、人生の判断を委ねる相手ではない。求職者が仕事に就く可能性を模索しているように、彼らは彼らの仕事と売り上げを追求する正義がある。
今日も、筆者は求人サイトを眺めています。

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