なぜ「理不尽に耐える人」ほど損をするのか — 職場構造を解く

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理不尽は「性格」ではなく「構造」で生まれる

「耐える人」は、優しいから損をするのではありません。単純に構造的に、損をする立場に置かれているからです。RIFUZINESが取り上げたい”理不尽”とは、個人の問題ではなく、組織とその場所の文化の仕組みから生まれる現象です。

ここでは、その背景を見ていきましょう。

日本の職場は「我慢」を前提に設計されている

多くの企業では、”秩序”と”調和”を重視する文化が根づいています。それは一見、美徳のように見えるものの、裏側は「意見を飲み込む人」が支えている現実。

「波風を立てない」「空気を読む」ことが評価される。逆に、「正しいことを言う」「異議を唱える」ことが”場を乱す行為”とされる。

もちろん、側から見ただけの上から目線で文句をつける人が好まれないのは当然です。けれど、理不尽を指摘することと、ただ不満をこぼすことはまったく違います。前者は職場を良くするための意見なのに、
現場ではその区別すら曖昧にされ、「文句を言う人」と一括りにされてしまう。

その構造の中では、理不尽に耐えられる人ほど”扱いやすい人”として重宝される。

結果、声を上げる人ではなく、”耐える人”の上に組織が成立していく。これが、構造的に「理不尽に耐える人ほど損をする」理由のひとつだと思います。

「上司の気分」で世界が決まる職場構造

企業では、いまだに感情で支配される職場が少なくありません。制度よりも”上司の機嫌”が優先され、合理よりも”慣習”が強い。

本来ならば業務上の問題として処理されるべきことが、人間関係や”好き嫌い”で判断されることが多い。
すると、どんなに正しい指摘でも「空気を悪くする」とされてしまう。

もちろん、人間同士だから仕方ないこともあります。誰だって、気の合う人・合わない人はいる。でも現実には、仕事の出来よりも”空気を読めるかどうか”で得をする人がいるのも事実です。

真面目にやっている人ほど、それを横目にしながらモヤモヤを飲み込む。それが、いちばん報われにくい構造かもしれません。

実際、筆者は、日本を代表する大企業の部長クラスの方と話をしたことがあります。その人に、「仕事のクオリティを上げるより、上司を研究した方がいい」と言われました。

「正直者がバカを見る」仕組み

理不尽に耐える人は、ルールを守り、誠実に働く。しかし、その誠実さが報われる仕組みに、筆者は実際出会えたことがありません。(自営業は覗く)

声を上げない人は、問題を起こさない人として扱われ、余計な仕事を任されやすくなる。逆に、「嫌です」「おかしいと思います」と言える人は、”扱いにくい人”とされ、距離を置かれてしまう。

結局のところ、真面目に向き合う人ほど損をする。どちらに転んでも、正直者がバカを見るようにできているのが、この社会の悲しい仕組みなのかもしれません。

構造を知ることが、はじまりになる

理不尽は、誰かの性格や努力の問題ではなく、仕組みの副産物です。けれど、仕組みを理解できれば、少なくとも自分を責めずにいられる。

もしかしたら、対処の仕方も少しずつ見えてくるかもしれません。

……まずは、上司の研究から始めてみますか?

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